大坂なおみ選手の全仏オープン棄権に関連した事柄について 

 この度、大坂なおみ選手からメンタルヘルスに関する問題提起がありました。本学会は創設以来、アスリートのメンタルヘルスが常に尊重され、心身が大切に育まれるスポーツ活動の実現を目指してまいりました。しかし、社会の皆様に広くお伝えできるところまでは力が及んでおりません。アスリートのメンタルヘルスには細心の注意が払われるべき事柄であるという今回の勇気ある問題提起に、敬意を込めて賛同を表します。

 アスリートが背負う精神的な不調、更にはアスリートの精神的な問題への理解は、いまだ不十分であるように思われます。この理由は、精神的な問題が身体的な怪我と違い、目に見えてわかりやすいものではないという点があります。学会としては、アスリートであってもその背景に精神的な不調や問題が存在し得ることを認識すること、そしてその事実に配慮できるようになることがスポーツ関係者に求められていると考えます。

 今回の大坂選手からの提案に伴い、一般社会においても精神的な問題に対する理解が進 んでほしいと考えています。うつ状態にある方に対して「体が動くなら出てきて仕事をしてくれ、そうでなければ周りに迷惑がかかる。」というような対応は、今も少なからず起きているように思います。このような精神的な問題への理解の不十分さは、今回発信をした大坂選手に対する一部の否定的反応にも関連があるように思われます。

 

 大坂選手の発信を個別の問題として終わらせず、アスリートのメンタルヘルスについて多くの人が考えるきっかけになると良いと考えています。更には、精神的な不調を経験している、あるいは経験したことのある人への社会の対応という点においても、人々の理解が深まって欲しい。そのような方向に社会が少しずつでも進んでいくように、本学会はこれからも尽力してまいりたいと考えています。


2021年6月6日 日本スポーツ精神医学会 理事会

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